上半身の姿勢評価
ここでは、骨盤から上の骨格を姿勢と動きから詳細に見ていきます。
グローバルな姿勢評価とは違い、骨格の位置関係や動作のエラーが無いかどうかなど、ローカルな部分をチェックしていきます。
この姿勢・動作評価で問題がある部分、特に評価が1点・0点の部位(シセナビの使い方・下記 参照)はトレーニングを行なうときも、意識を高くして正確に行なわなければ効果が無い、または悪化させたりすることもありますので、ご注意ください。
エクササイズを進めていく順序として、姿勢・動作評価でNGがある部位のみのトレーニングでもOKですが、シセナビの使い方で紹介したフローチャートの順に進めていくことをオススメします。
フローチャートでの上位にあたる部分が下位の部分の土台となるので、上位の項目がしっかり安定していればいるほど下位にあたる姿勢の改善は容易になります。
各姿勢と動作は以下を参考に判断してください。
3点 → 姿勢・動作共に問題なし → セルフトレーニング推奨
2点 → 問題あるが意識したら正しい姿勢・動作が保てる → パーソナルトレーニングも取り入れると効果的
1点 → 問題ありで頑張っても正しい姿勢・動作が困難 → パーソナルトレーニングを強く勧める
0点 → 問題ありで正しい姿勢・動きをすると痛みが出る → 医療従事者よる治療+パーソナルトレーニング必須
上記の点数などの判断は、絶対的なものではないので参考程度にしておいてください。
姿勢の評価は、立位静止時に骨格ポジションが正しい位置にあるかどうかを見ていきます。
骨格が正しい配列にあるという事は、重力下での骨格による体軸ができているということです。この軸上から骨格がズレている、または傾いているとうことは、ズレている分だけ筋肉による支えが必要になるので、何もしていなくても筋肉に負担がかかるということになります。
自身の骨格が理想と比べてどうなっているのか?、これを評価せずにエクササイズを選ぶことはできません。非常に大事なことですのでしっかり評価していきましょう。
骨盤の姿勢評価
まずは、骨盤から見ていきます。
骨盤のポジション(動画を参照に)骨盤の正しい位置は左右の腰骨と恥骨を結んだ3点の面が正面を向いていることです。
この面が下を向いている、すなわち恥骨が引けていて、腰骨が前に出ている状態だと腰を反っていることになりますし、恥骨が前に出過ぎていると腰が丸くなっているということになります。※下記画像参照
画像
骨盤は、上肢と下肢を繋ぐ姿勢や動作の土台になります。なので、上肢・下肢両方の姿勢改善の要となり、動作やスポーツでのパフォーマンスでも土台となります。何をするにも土台となる部位ですので、しっかり整えていきましょう。
ここでNGがある人は、腹部・骨盤の構造的安定のページを参照にエクササイズを行ないましょう。
骨盤~下位胸郭の姿勢評価
ここでは、骨盤から肋骨の辺りまでのポジションを確認します。
骨盤から下位肋骨の位置関係(動画参照)骨盤の評価の正しいポジションをベースに、身体の側面から見たときに、恥骨と腰骨と肋骨がほぼ垂直線上に並んでいることです。
エラーとNT画像
肋骨の位置は、運動経験などによっては胸郭が大きく発達していて多少前に出ていることもありますが、明らかに前に飛び出しているとNGです。特別高いレベルでの運動経験でもない限りは、恥骨と腰骨のラインよりも1㎝出ているかいないか程度です。
またこの評価は動作と組み合わせてみると明確に判断できるので、動作の評価でもチェックしてみてください。
つまり姿勢での評価が正常かNGか怪しい場合に、動作のチェックでもNGが出るかどうかを試してみるとよいです。動作で問題なければ大丈夫でしょう。
この評価でのNGは、腰椎と胸椎の境目辺りが過剰に動きすぎていることが予測できます。脊柱は全体が万遍なく可動し、力強さとしなやかさが必要ですので、特定の箇所だけが過剰に動くのは、その部位だけに負担が増加し、慢性痛や疾患に繋がるリスクが増加します。
ここでNGがある方は、胸椎・腰椎の分離ページを参照にエクササイズを進めていきましょう。
頸椎~上位胸郭の姿勢評価
ここでは、頸椎から上位胸郭のポジションを見ていきます。
デコルテや鎖骨のラインが気になる方はこの部位が整うことは必須になります。
頸椎から上位胸郭の姿勢(動画参照)
ここでの正しいポジションは、骨盤や肋骨ラインが整っている前提で、胸骨柄と胸椎3番が同じ高さになっていることです。
NTとエラー画像
よくあるパターンとしては、猫背になると胸郭が下垂して胸骨柄の位置が低くなり、胸椎3番が高くなります。そうすると背中は丸くなり、デコルテも狭くなり肋骨を上から押し潰すような形になり横に広がるので、ウエストは寸胴になりやすくなります。
また、背中の丸みに伴い肩が内側に巻き込むようにバランスを取るので、巻き肩を誘導します。首コリや肩こり、慢性頭痛などにも関係する部位なのでしっかり改善していきましょう。
ここでNGがある方は、頸椎・上位胸郭の改善ページを参照にエクササイズを進めましょう。
頸部〜頭部の姿勢評価
ここでは、頸部から頭部にかけてのポジションを見ていきます。
頭部は人体の中でも一番質量がある部位です。ヒトの姿勢は発達した脳(頭部)を骨格の一番高い位置に安定させるために直立姿勢になりました。頭部の位置はとても大事で、土台となる胸部が安定すると頭部との位置関係も正しく保てるようになります。
頸部から頭部の姿勢(動画参照)
ここでの正しいポジションは、肩峰・首筒中央・乳様突起が垂直線上に揃っていることです。
よくあるNGパターンでは、肩峰よりも首筒中央と乳様突起が前に出ている状態です。これは猫背姿勢で多いのですが、胸郭のポジションが悪くて首肩周りの緊張が強いとよく起こります。このNG姿勢では、緊張の度合いや動きのエラーなどによっては、慢性の頭痛や顎関節症、胸郭出口症候群など様々な弊害を誘発することがあります。
正常の画像とエラーの画像
ちゃんと改善すると、胸元は綺麗になり見栄えがかなり変化しますので、しっかり直しましょう。
ここでNGがある方は、頸椎・頭部の安定性ページを参照にエクササイズを行ないましょう。
上腕骨と肩甲骨の姿勢評価
ここでは、上腕骨と肩甲骨との位置関係が適切かどうかを見ていきます。
上記の胸郭や頭部の評価でNGがあると、高い確率で上腕骨と肩甲骨のエラーが同時に起こります。いわゆる巻き肩です。
巻き肩は、胸郭や頸椎のポジションが正しい位置にあると改善がスムーズに行なえます。逆に言うと、猫背や出っ張り頭のままで巻き肩の改善は難しいです。
上腕骨と肩甲骨の評価(動画参照)
ここでの正しいポジションは、後方斜め60度程から鎖骨から肩までのラインを見た時に、肩が前方に出ず開けていることです。
後方60度から見ている画像
この評価は簡単ですが、ちゃんと評価するのが難しい例として、普段から高強度の筋トレをしていて三角筋(肩の筋肉)が発達していると、判断し辛くなることがあります。
ここでNGがあることを、分かりやすい表現をすると上腕骨が肩甲骨にズレた状態ではまっていることになります。この「上腕骨のはまり」がズレていると、二の腕が太く見える、二の腕のたるみ、などに繋がります。上腕骨のはまりがズレたままで、二の腕に高強度なトレーニングを行なうとたるんだ部分がそのまま発達するのでより二の腕が太くなりますので、上腕骨のはまりはしっかり改善しておきたいですね。
ここでNGがある方は、上腕骨と肩甲骨の適合性のページを参照にエクササイズを行ないましょう。