腹部・骨盤の安定性
このカテゴリーでは、腹部・骨盤の安定性を獲得していくことで、ウエストの引き締め、くびれ作りに重点を置いてエクササイズで構成しています。
骨盤は上半身と下半身を繋ぐ部分であり、上半身・下半身のどちらを動かすときにも土台となるので、どんなエクササイズをするときでも安定させる必要があります。
よって基礎的な呼吸を獲得できたらここからが骨格を整えていくスタートになります。内容は呼吸による体幹の安定性がメインとなるので「呼吸の基礎・適応」の応用などが多くなります。
フローチャートでは呼吸の次になります。
骨盤の安定とは、主に骨盤の関節構造をはめ込むように安定させることを指します。骨盤は左右の寛骨と中央の仙骨から構成され、その間の関節を仙腸関節と言います。
このような構造になっています。
一般的によく聞く「骨盤が緩む」というのは、この仙腸関節の構造がしっかりハマらず緩んでいることを指します。この仙腸関節の締りは、脊柱に張り付いているインナーマッスルである「多裂筋」が担ってます。多裂筋は中央の仙骨まで付着しており、収縮すると仙骨を前傾させます。仙骨が左右の寛骨に対して前傾すると仙腸関節は締るポジションとなり構造的に安定します。
それともうひとつ大事な安定の要素として、「腹横筋」による安定性があります。腹横筋は腹部周囲をぐるりと取り囲むように付着していて収縮すると中心に向かって縮むので、正しく働くことでくびれ作りに繋がります。腹横筋は両寛骨に付着しており、収縮することで寛骨を締めます。多裂筋を締めようと仙骨を前傾させようとしても、腹横筋との共同で収縮しなければただ腰を反るだけになってしまいます。
この2つがしっかり締まると、連動して骨盤底筋も締まります。逆に骨盤底筋を締める意識をする(膣を引き上げる感じ)と腹横筋を締めやすくもなります。
骨盤の安定は、くびれ作り、美尻作り、美脚作り、デコルテ作り、など様々な土台になるため、必ず安定させないといけません。ここがちゃんと機能しないとどのエクササイズをやっても効果は低いです。
ここでは、腹横筋を締めるドローインと多裂筋を締めるエクササイズを進めていきます。
エクササイズは以下の順で進めていきましょう。
エクササイズ① ドローイン
エクササイズ② テーブルトップ
エクササイズ③ シングルレッグ
エクササイズ④ キャットポジション+up
エクササイズ⑤ リブケージツイスト
エクササイズ⑥ サイドベントツイスト
エクササイズ⑦ テールアップ
エクササイズ⑦ テールアップ+α
エクササイズ⑧ C-C テーブルトップ
エクササイズ⑨ C-C オールフォー
エクササイズ⑩ ダイアゴナル
エクササイズ⑪ ハーフニーリング
エクササイズ⑫ ニュートラルポスチャー
以上の順に進めていくと効果的です。
エクササイズの構成と考察
姿勢の評価などでチェックした胸郭や骨盤のニュートラルポジションを覚えていますか?
正しい骨格配列は綺麗な姿勢作りの基本で、胸郭や骨盤のポジションは呼吸のクオリティーを発揮して体幹の強度などを高める意味でも整えるべきであり、くびれやウエストを引き締めるためでも整える必要があります。
つまり呼吸を「体幹の機能性」を重視して高めるのか、「くびれ・ウエスト作り」を重視して高めるのか、によって使い方が違うのです。
「くびれ」は女性にとって見た目の美しさにはとても貢献してはくれますが、「体幹の強度」には貢献してくれません。
つまり「くびれてる=頑丈」ではないということ。アスリートやプロスポーツ選手ではない一般の方なら、日常でそこまで身体に負荷がかかることはないので、
最初に行なう ドローイン はくびれ作りや骨盤の安定させるための超基礎的な呼吸による腹横筋エクササイズです。
このドローイン自体は誰でもできるのですが、精度の問題で、正しく出来ていないとほとんど役に立ちません。余計な動きや緊張が出ていないか動画の説明をよく見ながら行なってください。
ドローインでしっかり腹部を安定させる感覚が掴めたら、少しづつ負荷を加えてもブレないように テーブルトップ で脚の重さとバランスの変化に対応できるドローインの強度を高めていきます。
ドローインによる腹部の強度として、自身の脚の重さには対応しておきたいので、ドローイン強化として最後に出来るようにして頂きたいのが シングルレッグ です。脚の重さがダイレクトに掛かるので、シングルレッグをしっかり行なえるようであればドローインは十分でしょう。
ドローインが出来てきたら、肋骨の締まりをより強調するために「肋骨の内旋ポジション」をより作り込んでいくために キャットポジション を行ないます。「肋骨の内旋」は呼吸のカテゴリーでも同様に必須で、ここでは「正しい呼吸」という観点よりも「くびれを作る・ウエストを絞る」という観点から行ないます。
次の リブケージツイスト では肋骨の内旋を左右片側ずつ行ないます。基本ヒトの動作は左右非対称が多く、締まる側と拡張する側を作り片側ずつ行なえるほうが、より「肋骨の締まり」を強調できます。リブケージツイストのレベルアップバージョンが サイドベントツイスト です。
お腹周りをしっかり締める感覚が掴めてきたら、ここからが「骨盤の安定」を作るフェーズに移行していきます。というのも腹横筋の安定という土台がないと骨盤の安定が作れないからです。
骨盤の安定は、骨盤中央の「仙骨」と両サイドの「寛骨」を繋ぐ関節である「仙腸関節」を締まるポジションを作ることにあります。
腹横筋によるドローインは両サイドの寛骨を後傾させて後ろに倒すのを誘導するのに対して、脊柱から仙骨までビッシリ張り付いている「多裂筋」は仙骨を前傾させて前に倒す動きを誘導するため、腹横筋が働いている状態で多裂筋を活性させないと意味がないのです。
そこで多裂筋の活性に行なう基礎が テールアップ です。エクササイズ自体は至極単純で、仮に分かりづらくても テールアップ+α でサポートすれば多裂筋への感覚入力や左右差の調整ができると思います。
ここから先が「くびれ作り」と「骨盤の安定」を普段からできるように両立させていくための感覚である「コーコントラクション」(以下C-C、co-contraction)を身体に覚えさせます。
C-C とは腹部側と背部側からの両方から適切な力が加わることで、お互いの力が噛み合うことで安定させることを言います。
C-C の最初は C-C テーブルトップ です。エクササイズ②のテーブルトップをドローインの腹横筋とテールアップの多裂筋を同時に行ないます。この二つが同時に使えて骨盤や肋骨のニュートラルポジションが作れたら完璧です。
C-C テーブルトップは仰向けで床の支えが大きいので、 C-C オールフォー の四つ這いポジションでも C-C の感覚を入力します。
四つ這いでも問題なければ、 ダイアゴナル で四肢を動かしても C-C を維持できるようにより感覚を高めていきましょう。
仰向けから徐々に立位に移行していくわけですが、ここではちょうど中間位の片膝立ちポジションになる ハーフニーリング でも同じように腹横筋+多裂筋を活性させて骨盤を安定させながら股関節を動かします。
ここまでエクササイズが進められれば最後に ニュートラルポスチャー で立位姿勢で確認します。呼吸のカテゴリーの最後で行なったように自然な立ち姿勢でもあまり考えずにC-Cの感覚が分かるようにしましょう。
まとめ
ウエストの締まりや、くびれ作りには、呼吸のクオリティーが備わっていることが必須となります。
なので、呼吸でくびれ作りの土台を作る必要があるため、カテゴリーを「呼吸の基礎・適応」と分けて考えます。呼吸エクササイズに似たものもありますが、ここではくびれやウエスト引き締めに重点を置いた構成になってます。
ウエスト作りには骨盤そのものの安定と肋骨ポジションに重点を置く必要があり「身体の造形」を重視してエクササイズを進めていきます。
呼吸の基礎や適応がしっかりできていればできているほどエクササイズもスムーズに進めることができると思います。
この次のステップである上半身の改善エクササイズである 胸椎・胸郭の改善 や、下半身の美尻・美脚を目指すためのエクササイズである 殿部・太腿周りの改善 に進んでいく際にもウエスト・骨盤の安定性は必須です。
しっかり出来るようになったら次に進めていきましょう。